顔料・色材用語集
本ページでは、顔料や色材に関連する技術用語を解説しています。
塗料、インキ、樹脂、建材などの分野で使用される顔料の種類や特性、分散、色差などの基本用語をまとめています。
用語索引
50音順
アルファベット順
A / B / C / D / E / F / G / H / I / J / K /
L / M / N / O /
P / Q / R / S / T / U / V / W / X / Y / Z
あ行
一次粒子
一次粒子とは、粉体の粒子の最小単位を指します。生顔料の粉体は製造の過程で一次粒子から二次粒子へ凝集しているため、顔料の使用にあたっては解砕処理や分散安定化処理が推奨されます。
隠ぺい力・隠ぺい性(隠蔽力・隠蔽性)
隠ぺい力・隠ぺい性(隠蔽力・隠蔽性)とは、下地を隠ぺいする程度のことです。下地を隠す役割を担う着色用途においては重要な要素です。一般的に有機顔料に比べて、粒径の大きい無機顔料が隠ぺい力が高いといわれています。
エマルジョン
エマルジョンとは、本来混ざり合わない液体同士が乳化・微細粒子として分散した乳濁液を指します。乳濁液を乾燥粉末化させた粉末タイプのエマルジョンもあります。セメントの混和材、接着剤、塗料用バインダーなどの用途で使用されます。
黄色酸化鉄(黄鉄)
黄色酸化鉄(黄鉄)とは、ゲータイト(FeOOH)を主成分とする黄色の酸化鉄顔料です。建材や塗料、樹脂などの着色に広く使用されます。耐候性や耐アルカリ性に優れており、コンクリートやモルタルなどのセメント系材料にも適用可能です。粒子の形状は針状で、一般的に、粒子が細長い場合は明るい黄色(レモンイエロー)で、太くなるにつれ赤味を帯びた黄色(山吹色)に変化していきます。
か行
カーボンブラック
カーボンブラックとは、炭化水素の不完全燃焼や熱分解によって生成される微細な炭素粒子からなる黒色顔料です。高い着色力、隠ぺい力、耐候性を持ち、塗料、インキ、プラスチックなどの着色用途のほか、導電性材料やゴム補強材としても使用されます。特にゴム用途では自動車タイヤ向けの需要が大きい材料として知られています。
界面活性剤
界面活性剤とは、水と油の界面張力を低減し、乳化や分散を可能にする物質です。顔料分散やエマルジョン安定化に不可欠な添加剤です。
加工顔料
加工顔料とは、顔料粉末を樹脂やワックスなどの媒体とともに処理し、分散性や取り扱い性を向上させた顔料製品です。乾燥状態の顔料は一次粒子が凝集した二次粒子の状態で存在することが多く、そのままでは充分に性能が発揮されない場合があります。加工顔料にすることで粉体の飛散を抑えながら均一に分散しやすくなり、塗料、樹脂、インキなどの製造工程で使用されます。ドライカラー、トナーカラー、マスターバッチなどの形態があります。
可塑剤
可塑剤とは、樹脂に柔軟性や加工性を付与する添加剤です。主にPVCなどに使用され、耐衝撃性や成形性の向上に寄与します。
カラーコンクリート
カラーコンクリートとは、顔料を直接練り込むことで材料自体に色を付けたコンクリートのことです。酸化鉄顔料などの耐候性や耐アルカリ性に優れた無機顔料が主に使用されます。建築外装や舗装、景観材料などに用いられ、意匠性や周辺環境との調和を目的として利用されています。
顔料分散
顔料分散とは、顔料粒子を塗料や樹脂、インキなどの媒体中に均一に広げる工程または状態を指します。媒体に可溶な染料に対して、顔料は不溶であるため「溶解する」ではなく、「分散する」と表現します。顔料は媒体中に均一に分散することで十分な性能を発揮するため、顔料分散は発色において大事なテーマです。
吸油量
吸油量とは、粉体顔料に油を加えながら湿潤させ、一定の硬さのパテ状にするのに必要な油の最小量のことです。顔料の吸油量は、主に塗料やインキの配合でビヒクルの添加量の目安となるため、重要な指標となります。
凝集
凝集(ぎょうしゅう)とは、顔料の一次粒子が製造の過程で二次粒子、三次粒子に結合する状態のことを指します。凝集したままの顔料を使用すると分散不良を起こしやすく、発色が不十分になるため、製造工程では分散処理によって凝集を解きほぐすことが重要です。
金属粉顔料
金属粉顔料とは、アルミニウムや銅、真鍮などの金属を微細な粉末やフレーク状に加工して作られる顔料です。光を強く反射する性質により、金属光沢やメタリック調の外観を表現できるため、塗料、印刷インキ、プラスチック製品などの装飾用途に広く使用されます。粒子形状や粒径により輝度や質感が変化します。メタリック塗料や加飾用途で使用される顔料です。
群青(ウルトラマリン)
群青(ウルトラマリン)とは、鮮やかな青色を示す無機顔料で、もともとは青金石に由来する天然顔料ですが、現在は人工的に製造されています。塗料、印刷インキ、プラスチック、画材などの着色用途に使用されるほか、白色材料の黄ばみを補正するブルーイング剤としても利用されています。安全性が高く、化粧品用途にも使用されることがあります。
蛍光顔料
蛍光顔料とは、紫外線などの光エネルギーを吸収し、可視光として放出する性質をもつ顔料です。非常に鮮やかで高彩度の発色が得られるため、標識、表示材、印刷物、装飾用途などで使用されます。一般的な顔料と比べて発色が強い一方、耐候性には注意が必要な場合があります。高彩度着色や表示用途で使用される機能性顔料の一種です。
黒色酸化鉄(鉄黒)
黒色酸化鉄(鉄黒)とは、マグネタイト(Fe3O4)を主成分とする黒色の無機顔料です。高い耐候性を持ち、塗料や建材、コンクリート製品などの着色に使用されます。屋外用途でも退色しにくいことから、建築分野で広く採用されています。酸化鉄顔料の中で唯一、磁石に反応します。
コンクリート着色
コンクリート着色とは、打設前の生コンに着色顔料を混錬する着色法です。建築や護岸、法面などで意匠性や景観性を高める目的で使用されています。セメントが強アルカリ性で、雨水や日光のあたる場所に使用されるため、耐候性・耐アルカリ性に優れた酸化鉄顔料などの無機顔料が主に使用され、水に溶解する染料や、耐光性の劣る有機顔料はあまり使用されません。
さ行
酸化クロム
酸化クロムとは、Cr2O3を主成分とする緑色の無機顔料です。粒子の大きさや粒度分布によって色調が変化し、粒径が小さいほど明るい色合いと高い着色力を示す傾向があります。耐候性、耐熱性、耐火性に優れているため、セメント着色、カラー舗装、陶磁器、塗料などの着色用途に広く利用されています。
酸化チタン
酸化チタンとは、TiO₂を主成分とするもっとも代表的な白色の無機顔料で、二酸化チタンとも呼ばれます。高い着色力と隠ぺい力を持ち、塗料、印刷インキ、プラスチック、製紙、衣類、化粧品や日焼け止め、食品添加などさまざまな分野で使用されます。
酸化鉄顔料
酸化鉄顔料とは、鉄の酸化物(いわゆる鉄さび)を主成分とする、黒・黄・赤の色調を持つ無機顔料です。着色力、隠ぺい力、分散性に優れ、また耐候性、耐薬品性にも優れることから、塗料、建材、樹脂、道路などの着色用顔料として広く使用されています。
色差
色差(しきさ)とは、2つの色の違いを表したものです。目視による色差測定は、観測者の年齢や性別、測定環境などで見え方が違うため注意が必要です。測色計を用いた現在ではL*a*b*色空間に基づく計算式を用いて評価されることが一般的で、品質管理において、見本色との色の再現性を確認するための指標として利用されています。
重合
重合(じゅうごう)とは、モノマーが化学反応により結合し、高分子であるポリマーを生成する反応です。付加重合や縮合重合などがあり、反応条件により分子量や物性が変化します。
焼成顔料
焼成顔料とは、顔料原料を高温で焼成して安定した結晶構造を形成させた無機顔料の一種です。焼成によって耐熱性、耐候性、耐薬品性に優れるため、屋外環境で使用される建材やコンクリート製品、セメント製品の着色などに適しています。酸化鉄顔料や複合金属酸化物顔料などが代表例で、長期間にわたり色の安定性を保てる点が特長です。
赤色酸化鉄(べんがら)
赤色酸化鉄(べんがら)とは、ヘマタイト(Fe2O3)を主成分とする赤色の無機顔料です。べんがら(弁柄)の名称はインドのベンガル地方から伝わったことに由来しています。酸化鉄顔料の中でもっとも熱に安定しており、耐候性や耐アルカリ性にも優れています。主な用途は、塗料やインキ、樹脂やコンクリートの着色などです。粒子径が小さいものは黄味を帯びた赤色で、粒子径が大きくなるにつれて紫味を帯びた赤色に変化します。また、粒子径が小さいほど隠ぺい力は増加します。
た行
耐アルカリ性
耐アルカリ性とは、アルカリ性の環境にさらされた場合でも材料の性質や色調が変化しにくい性質を指します。コンクリートやモルタルに含まれるセメント剤などのアルカリ性の材料と接触する用途では、発色を維持するために重要な特性です。
耐候性
耐候性とは、紫外線、雨水、温度変化などの屋外環境要因に対する材料の耐久性能を指します。退色、ひび割れ、チョーキングなどの発生しにくさで評価され、外装材や屋外製品では長期信頼性を左右する重要な特性です。 顔料においては変色や退色が起きる可能性があります。屋外暴露試験、促進耐候試験などのテストで検証します。
耐光性
耐光性とは、主に紫外線照射による変色や退色に対する耐性を示す性質です。顔料や樹脂の分子構造に依存し、屋外用途や長期展示用途での外観保持に関わる評価項目です。屋外暴露試験、促進耐候試験などのテストで検証します。
耐熱性
耐熱性とは、高温環境においても材料の物理的性質や色調が変化しにくい性質を指します。加熱工程や高温環境下で使用される顔料の場合、変色や分解が起こりにくいことが求められます。一般的に、無機顔料は有機顔料に比べ耐熱性に優れています。窯業や塗料や樹脂などの用途で重要な性能です。
耐薬品性
耐薬品性とは、酸やアルカリ、有機溶剤などの化学薬品に接触しても材料の性能や外観が変化しにくい性質を指します。塗料、インキ、樹脂製品に使用される有機顔料は、使用環境に応じて適切な耐薬品性を持つ材料を選定することが重要です。
蓄光顔料
蓄光顔料とは、光エネルギーを吸収して内部に蓄え、暗所で徐々に発光する性質をもつ顔料です。主にアルミン酸ストロンチウム系などの無機材料が使用され、夜間の視認性向上を目的として避難誘導標識や安全表示、装飾製品などに利用されています。繰り返し発光する特性を持ちます。夜間表示や安全標識用途で使用される機能性材料です。
着色力
着色力とは、基材にどれだけ色を付与できるかを示す性能指標で、顔料の物性のひとつです。粒子が小さく、分散性がよい顔料ほど着色力は大きくなります。白色顔料の場合は黒色顔料に混合し明度を高くできるか、黒色・有彩顔料の場合は白色顔料に混合して明度を低くできるかが着色力の指標となります。
チョーキング
チョーキングとは、ペイント塗膜を外気にさらした結果、紫外線や風雨で劣化し、顔料が塗膜から分離して表層に顔料の粒子が現れる現象です。
トナーカラー
トナーカラーとは、顔料とバインダー樹脂を混合させたレーザープリンタ用の色材です。色相は、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンが基本となります。
ドライカラー
ドライカラーとは、顔料の供給形態の一種で、生顔料に分散処理加工を加えた粉末の着色顔料を指します。樹脂やゴム、建材などの原料に直接混合して着色する方法で、顔料本来の色調を活かせる点が特長です。加工工程が比較的シンプルである一方、分散状態によって色ムラが生じる場合もあるため、均一に混合するための分散技術が重要になります。
な行
生顔料
生顔料(なまがんりょう)とは、顔料製造工程で得られたままの未処理状態の顔料のことです。表面処理や分散加工を行っていないため、粒子が凝集しやすく、そのままでは分散性や加工性に課題があります。樹脂や塗料、インキ用途では、用途に応じた後処理を施して使用されます。
二次粒子
二次粒子とは、一次粒子が凝集して形成された粒子集合体を指します。顔料や粉体材料は乾燥状態では一次粒子同士が静電力やファンデルワールス力などによって結びつき、二次粒子として存在することが一般的です。この凝集状態のままでは色調や分散性などの性能が十分に発揮されない場合があるため、塗料や樹脂などの製造工程では分散処理によって一次粒子に近い状態まで解きほぐすことが重要になります。
粘度
粘度とは、流体の流れにくさを示す物性値です。塗料や樹脂の施工性や分散性、塗膜厚みに影響します。単位にはmPa・s(ミリパスカル秒)やPa・s(パスカル秒)が使われます。
は行
白華(エフロレッセンス [efflorescence])
白華(はっか、エフロレッセンス [efflorescence])とは、コンクリート、モルタル、タイルなどの表面が白っぽく変色したような状態になる自然現象のことです。雨水などの影響で、内部の水酸化カルシウムが表面に析出(せきしゅつ)することが原因です。美観や耐久性に影響を与えます。
パール顔料
パール顔料とは、パール(真珠)調の光沢、虹彩色、メタリック感を付与する顔料です。主に化粧品、樹脂、塗料などの分野で使用されています。雲母を基板として酸化チタンで被覆させる「酸化チタン被覆雲母」が主流ですが、現在では合成雲母やタルクを基板とし、着色顔料で被覆したものなど、さまざまな製法のパール顔料が存在します。
バインダー
バインダーとは、顔料や充填材を結合・固定し、塗膜や成形体を形成する固着剤です。主に樹脂が該当し、密着性や耐久性を決定づけます。
ビヒクル [vehicle]
ビヒクルとは、塗料やインキにおいて顔料を分散させるための合成樹脂、溶剤、オイルなどの総称です。展色剤とも呼ばれます。
プライマー
プライマーとは、下地と上塗り塗膜の密着性を向上させるための下塗り材です。
ブリーディング(ブリード現象)
ブリーディングとは、塗膜中の顔料や添加剤が移動し、にじみや色移りを起こす現象です。多層塗装で問題となることがあります。
ブルーミング
ブルーミングとは、添加剤などが時間経過により表面へ移行・析出(せきしゅつ)する現象です。外観不良や密着性低下の原因となります。
防錆顔料
防錆顔料とは、金属材料の腐食を抑制する機能を持つ顔料で、防錆塗料などに配合して使用されます。塗膜中で金属表面を保護したり、腐食反応を抑制することで鋼材の耐久性を高めます。リン酸塩系顔料や亜鉛系顔料などが代表的で、建築構造物や設備の防食用途に広く利用されています。鋼材塗装や防食塗料に使用される機能性顔料です。
ポリマー
ポリマーとは、多数のモノマーが結合して形成される高分子化合物です。塗料、接着剤、プラスチックなど多様な材料の基礎となります。
ま行
マスターバッチ
マスターバッチとは、加工顔料の一種で、顔料や添加剤を樹脂中に高濃度で分散させ、ペレット状に加工した着色材料です。樹脂成形時にベース樹脂へ少量添加することで、均一な着色や機能付与を効率よく行うことができます。粉体顔料に比べて取り扱いや分散性に優れるため、プラスチック製品の着色や機能材料の添加用途などで広く利用されています。
無機顔料
無機顔料とは、金属酸化物などの無機化合物を主成分とする顔料です。耐候性・耐熱性・耐薬品性に優れるものが多く、屋外用途や建材、コンクリート着色などの分野で広く使用されます。有機顔料に比べて鮮やかさは控えめですが、長期耐久性が求められる用途に適しています。酸化鉄や酸化チタンなどが代表的な無機顔料です。
モノマー
モノマーとは、重合反応によりポリマーを形成する低分子化合物です。種類や構造によって生成ポリマーの物性が大きく変わります。
や行
有機顔料
有機顔料とは、炭素骨格を持つ有機化合物からなる着色材料です。鮮やかな発色と高い着色力を有し、プラスチック、インキ、塗料など意匠性を重視する用途に適します。一方で耐候性や耐熱性は無機顔料に比べ劣る場合があり、用途条件に応じた選定が重要です。アゾ系、縮合系、フタロシアニン系、スレン系、キナクリドン系などがあります。
ら行
粒子径
粒子径とは、粉体や粒子材料の大きさを示す指標です。一般的には平均粒径や粒度分布などによって評価されます。顔料では粒子径が着色力や隠ぺい力、光沢などの性能に影響するため、用途に応じた粒径管理が重要です。
リーフィング
リーフィングとは、金属粉顔料などが塗膜表面に配向し、金属光沢を強調する現象です。意匠性向上を目的に利用されます。
わ行
ワニス
ワニスとは、顔料を含まない透明ビヒクルのことで、塗料やインキの基材として用いられます。光沢や保護膜形成を目的に使用されます。
L
L*a*b*(色空間)
L*a*b*(色空間)とは、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化された、色を色空間の数値で表す代表的な表色系です。L*は「エルスター」、a*は「エースター」、b*は「ビースター」と読みます。測定物を「明暗を示すL*」、「赤⇔緑の方向を示すa*」、「黄⇔青の方向を示すb*」の3つの値で表現します。測色計にて測定し、顔料や各アプリケーションの色管理に広く用いられ、色差の評価や品質管理の基準として活用されています。
P
pH(ペーハー)
pH(ペーハー)とは、水溶液の酸性・アルカリ性の程度を示す指標です。分散安定性や化学反応性に影響し、製造工程管理において重要な管理項目です。値は1~14まであり、1~6は酸性、7は中性、8~14はアルカリ性です。
PVC [Pigment Volume Concentration](顔料体積濃度)
PVC [Pigment Volume Concentration](顔料体積濃度)とは、塗料やインキなどの塗膜中に含まれる顔料の体積が、顔料とバインダーの合計体積に対してどの程度の割合を占めているかを示す指標です。塗膜の光沢や隠ぺい力、耐久性などに影響するため、塗料設計や配合検討において重要な指標として利用されます。