カラーコンクリートの景観性とデザイン性

一般にコンクリートは石や岩のような天然素材に比べて無彩色で単調な色が人工的な印象を与えますが、「カラーコンクリート」にすれば周辺の風景に溶け込んだ「景観」をつくることができ、コンクリートの機能性ともに「デザイン」のひとつとしての表現も可能です。
都市景観の中にある建築構造物は、建築のデザインや色彩が「その建物が魅力的にみえるのか、あるいはわびしく単調にみえるのか」を左右する大事な要素となっています。コンクリートの機能性に、美的な表現を組み合わせることができるのが「カラーコンクリート」です。
2005年6月に施行された景観法により景観デザインの概念が広まり、それに合わせて国・地方自治体で「景観形成ガイドライン」が策定され、それらを用いた検討や採用が活発になっています。
1990年代には「シビック・デザイン」の名のもと公共土木施設のデザインが導入され、コンクリートの特性を活かした景観材料として「カラーコンクリート」が注目されました。当時の「水辺の景観設計」や「港の景観設計」に、設計概念のなかで、形状と色彩の観点から「カラーコンクリート」が使われ始めました。
その後、河川・擁壁などの土木用二次製品で幅広く採用されています。

茨城県・高戸海岸
さらに、土木構造物として岩や石に似せた「カラーコンクリート製品」も開発されています。
最近では「河川景観ガイドライン」(国土交通省・平成18年10月)素材の項にて、護岸の明度を下げる目的で黒色や濃茶色といった無機顔料を添加した護岸ブロックや大型擁壁ブロックへの適用例も増えてきています。

富山県・伏木港
一方、都市景観の中にある建築構造物では「打ち放しカラーコンクリート」として黒色が採用されたり 、駅前再開発事業の高層ビル棟では淡い茶色が選ばれています。

山形県・西口ビル
ヨーロッパや米国では以前から「打ち放しカラーコンクリート」の設計が行われており、日本国内でも外国人建築家による建物が増えています。これらの外壁や外構には「カラーコンクリート製品」が広く使われており、他の素材とは異なった趣のある「景観デザイン」が採用されています。
このように「カラーコンクリート」はコンクリート特有の色むらや微妙な色をひとつのテクスチャーとして表現でき、石や岩のような天然素材により近づけた応用例もあります。
「カラーコンクリート」は使う無機顔料の色や添加量によって、望む色に近づけられます。
コンクリートの持つ質感はそのままで、多彩な色を表現できる「カラーコンクリート」の用途はますます広がる可能性を秘めています。
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