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CT(変流器)の仕組みとは? 動作原理から主な種類、用途をわかりやすく解説

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CT(変流器)の仕組みとは? 動作原理から主な種類、用途をわかりやすく解説

さまざまな電気設備において、電流の計測や監視は安全管理の基本です。しかし、回路を流れる大きな電流をそのまま計測器に流すのは、機器の破損や感電といった重大なリスクを伴います。そこで欠かせないのが、電流を安全なレベルに変換してくれるCT(カレントトランス、変流器)です。
CTは大きな電流を小さな電流に変換して、電流の計測・監視・保護に使用される電気部品です。

この記事では、CTの基本的な役割から主な種類、具体的な用途まで解説します。

1. CT(変流器)とは

CTは英語の「Current Transformer」の頭文字をとったもので、「カレントトランス」、日本語で「変流器」とも呼ばれます。まずは、その具体的な役割や他の電気部品との違いについて解説します。

CTの役割

CTの主な役割は、大電流が流れる回路から計測や監視に適した大きさの電流に変換することです。

もしCTを使わずに大電流を直接計測しようとすると、高性能な計測器が求められ、装置の大型化やコスト増加につながります。さらに、作業者が測定値を確認する際にも、常に感電の危険が伴います。

CTの最大のメリットは、高価な計測機器や監視システムを大電流に直接さらさずに済む点です。電流を安全なレベルまで小さくすることで、設備の常時監視や保護回路の安全な運用が可能になります。

計器用と保護リレー用の違い

CTには計器用と保護リレー用があり、用途に応じて設計思想が異なります。それぞれの特徴は以下の通りです。

  • 計器用CT:通常運転時の測定精度を最優先に設計されている。事故による過電流時には鉄心が磁気飽和するため、一次電流と二次電流の比例関係が崩れ、計測精度は維持できなくなる
  • 保護リレー用CT:事故時の大電流領域でも一次側の電流を正確に二次側へ伝達することを最重視した設計。大電流(異常電流)が発生しても飽和しにくく、一次電流をCT比に応じて二次電流として正確に伝達。保護リレーに異常電流を正しく伝えることで、遮断器を動作させ、設備を保護する役割

CTを選定する際は、電流を「測りたい(計器用)」のか、異常を「検知したい(保護用)」のかを明確にすることが大切です。

トランス・リアクトルとの関係

CTは、一般的なトランス(変圧器)やリアクトルと同じ「電磁誘導の原理」で動きます。ただし、同じ電磁誘導でもトランス・CTは「相互誘導」で、リアクトルは「自己誘導」で動きます。電圧を変換するトランス(変圧器)とは異なり、CTは役割や回路への接続方法が違います。

 
目的
一次側の接続
トランス(変圧器)
電圧変換
電源に並列接続
CT(変流器)
電流計測・監視・保護
測定対象回路に直列接続

分類上、CTは電圧測定用のVT(Voltage Transformer:計器用変圧器)とともに計器用変成器というグループに属します。また、電流の制御やエネルギーの蓄積が目的のリアクトルとも明確に区別されます。どちらも磁性材料と巻線で構成されていますが、CTは電流の計測・監視・保護、リアクトルは電流の制御やエネルギーの蓄積など、それぞれ異なる役割を持っています。

2. CTの原理

CTは電磁誘導という物理現象を利用して動作しています。ここでは、具体的な仕組みと、安全な運用のために必ず知っておきたい重要な注意点を見ていきましょう。

電磁誘導の仕組み

CTは「電磁誘導」という物理現象の中でも「相互誘導」を利用して電流を変換します。

測定対象である一次側の電線に交流電流が流れると、鉄心(コア)の内部に変化する磁界(磁束)が発生します。この磁界の変化によって二次側の巻線に電磁誘導が起き、起電力が発生します。二次側に計測器や保護リレーなどの負荷を接続すると、その起電力によって二次電流が流れます。

一次側と二次側は電気的に完全に絶縁されているため、高圧回路から計測回路へ高電圧が回り込む心配がなく、安全です。なお、二次電流は巻数比(ターン比)通りに流れるのが理想ですが、接続する負荷の抵抗や鉄心の特性によって、比誤差や位相誤差などの測定誤差が生じることがあります。

CT比とは

CT比(変流比)とは、一次側に流れる電流と、二次側から出力される電流の比率です。CTは、この変流比によって大きな電流を扱いやすい小さな電流に変換します。例えばCT比100/5Aの場合、一次側に100A流れたとき、二次側には5Aに縮小された電流が出力されます。

CTの変流比は、一次巻線と二次巻線の巻数によって決まります。理想的なCTの場合、一次電流と二次電流は巻数比に反比例します。上記のようにCT比100/5Aにしたい場合、一次電流と二次電流の比率は20:1となり、一次巻数1ターンに対して二次巻数は20ターンとなります。

二次側開放の危険性

CTを扱う上で、絶対に避けなければならないのが「二次側の電線を外した状態で通電すること」です。

通常は、二次側に電流が流れることで一次側の磁束を打ち消す逆方向の磁束が生まれ、鉄心内の磁気バランスが保たれています。しかし通電中に二次側を開放すると、二次電流が流れなくなり一次側の磁束を打ち消す作用がなくなります。その結果、以下のような極めて致命的なリスクが発生します。

  • 鉄心の過励磁:二次電流による磁束の打ち消し作用がなくなることで、鉄心を励磁する成分が増加。その結果、鉄心内の磁束密度が過大となり、磁気飽和や異常発熱につながる
  • 二次側への高電圧の発生:磁束の急激な変化により、開放された二次側の端子間に数kV(数千ボルト)に達する異常高電圧が発生する可能性がある
  • 重大事故の誘発:二次側に発生した高電圧による感電、火花放電(アーク)にともなう絶縁破壊からの火災、過熱によるCT本体の焼損

二次側開放は人命に関わる重大事故に直結します。メンテナンスや計測器の結線作業を行う際は、必ず事前に二次側を短絡(ショート)しましょう。実務では、ヒューマンエラーを防ぐために短絡端子付き端子台を設けて運用するのが鉄則です。

3. CTの構造ごとの特徴

CTの構造にはいくつかの種類があり、設置環境や検出目的によって適した構造が異なります。ここでは、実務においてよく使われる代表的な種類を紹介します。

貫通型の特徴

貫通型は、ドーナツ状の鉄心の穴に、測定したい電線をそのまま通すだけのシンプルな構造です。部品点数が少なく、信頼性が高いのがメリットです。しかし、完全に閉じたリング状のため、既存の設備に後付けする場合は、一度電線を外して通し直す施工の手間がかかります。

貫通型
貫通型

巻線型の特徴

巻線型は、変流器の内部に一次巻線と二次巻線の両方があらかじめ組み込まれている構造です。

貫通型のように電線を通すだけ(巻き数1回)だと、一次側の電流が数A程度と非常に小さい場合、励磁電流の影響が相対的に大きくなり、測定誤差が増えやすくなります。

これに対して巻線型は、内部で一次側の巻き数を増やせるため、小さな電流でも高い測定精度を維持できるのが強みです。精密な電流管理が必要な電子装置や、小容量の試験装置などで利用されています。

巻線型
巻線型

分割型(クランプ式)の特徴

分割型は、鉄心を開閉できる構造を持ち、既設の電線やケーブルを取り外すことなく後付けで設置できる構造です。

クランプのように電線を挟み込むだけで取り付けできるため、設備停止を伴わない電流測定や既設設備への追加設置に適しています。施工時間を大幅に短縮できるため、主にエネルギー監視の現場で活用されています。

一方で、分割部の接合状態による磁気特性への影響があるため、一体型CTと比べて測定精度は低下しやすく、主に電力監視や省エネルギー管理用途で使用されます。

分割型
分割型(クランプ式)

4. CTの用途と選び方

CTは、産業用ロボットやパワーコンディショナなど、多様な機器や設備に組み込まれています。ここでは、具体的な活用場面や選定時に必ずチェックしたいポイントを見ていきましょう。

産業機器・設備での活用場面

CTは、配電盤から最新のエネルギー機器まで幅広い分野で活躍しています。主な活用シーンは以下の通りです。

  • 配電盤・分電盤:工場やビルの電力の見える化、省エネ(デマンド監視)、過負荷や漏電の常時監視
  • 製造用ロボット・工作機械:モーター駆動電流の監視による設備状況の把握、異常検知や保護
  • パワコン・蓄電システム(V2H等):太陽光発電などの逆潮流防止、および充放電電流のリアルタイム監視・制御
  • 検査装置・半導体製造装置:微細加工やバッテリー検査における電流状態の監視、および回路保護

現代の工場自動化(FA)やエネルギー管理において、CTは電力状態を正確に把握し、安定した設備運用に欠かせない重要部品です。

選定時の確認事項

変流器を正しく機能させるためには、現場の環境に合わせた適切な選定が必要です。主に以下の項目を総合的に評価して機種を決定します。

  • 定格電流の確認:使用環境の最大電流を考慮し、かつ接続する計測器の入力仕様(5A、1A、電圧出力など)に合致する定格の選定
  • 周波数と定格電圧の適合:使用する電源周波数(50Hz/60Hz)および回路の電圧に対してCTの絶縁性能が担保されているかの確認
  • 精度クラス(確度階級)の選択:料金取引や精密計測用途では高い精度が求められるので、監視や保護用途では適切な精度クラスを選定
  • 定格負担(VA)の計算:二次側に接続する計測器の消費電力や配線抵抗の合計が、CT自体の許容負荷容量を超えない設計(容量超過による測定誤差の防止)
  • 設置スペースと形状の検討:配電盤内の限られたスペースやブスバー・電線の太さを考慮した、貫通型・分割型・巻線型からの最適な形状の決定

これらを段階的に確認することで、設置後の誤差が大きすぎる、スペースに入らないといった不具合を未然に防ぐことができます。

漏電監視用途で使用される特殊なCT・ZCT(零相変流器

CTの仲間であるZCT(零相変流器)は通常のCTとは異なり、漏電や地絡によって発生する零相電流の検出を目的としています。

  • 通常のCT:各電線を個別に測定し、負荷電流の大きさや電力を監視
  • ZCT:すべての電線をまとめて1つの穴に通し、各電流のベクトル和を監視

通常、電気の往復電流は同じ大きさで流れるため、打ち消し合います。しかし、絶縁不良などで電気が大地に漏れる(地絡・漏電)と、バランスが崩れてわずかな零相電流が発生します。ZCTはこの検出に特化しています。

つまり、ZCTは負荷電流の大きさを測るものではなく、零相電流を検出する機器です。漏電遮断器(ELCB)や地絡リレーと組み合わせて使い、安全保護用途に用いられます。零相電流が数mA程度の微小電流でも検出できることが要求されるので、コア材料はパーマロイやナノ結晶合金が使われることが多いです。

カスタム対応が必要な理由

市販のカタログ品では、現場の特殊な条件に対応しきれないケースが多々あります。

具体的には、既存の配電盤の狭い隙間に設置したい、半導体製造装置のように特殊な高周波成分を含む電流を精密に測りたいといった場合、スペースや電気特性の制約から標準品の流用が困難です。

長期間にわたり安定したパフォーマンスを発揮させるためには、設計段階から形状や仕様を最適化できるフルカスタム対応の体制が極めて重要になります。

5. まとめ

CTは、大電流を安全に計測・監視するための重要コンポーネントです。安全な運用のために電磁誘導の仕組みや二次側開放のリスクを正しく理解し、定格電流や精度クラス、設置スペースに応じた形状(貫通型・巻線型・分割型)を総合的に評価して選定することが重要です。

株式会社尾関では、CTをはじめとした各種トランスのほか、コイルやトランス、電流センサなど電源・磁性部品を扱っています。自社オリジナル製品を含むラインナップをご用意しており、仕様のご相談も承ります。お気軽にお問い合わせください。

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